著作権
◆権利者没の翌年1月1日を起点に50年で著作権は消滅する。1962年は柳田國男、室生犀星、正宗白鳥、飯田蛇笏(俳人)、吉川英治は9月に没だった。そこで、「青空文庫」から「新書太閤記」の前半がでた。1939年ー1945年8月掲載の読売新聞の長編小説である。生まれた翌年からの作品なのだと改めて思う。図書館不備の時代は貸本であり、小学5年生の秋に読んだ長編小説は初めてだった。
◆本当に読んだかと疑いながら、本の装丁を思い出し、読み進むと信長が朝倉との戦い途中で総退却になり、殿軍(しんがり)の藤吉郎退路の場面が甦える。漢字や人の名前も難しいがルビがあり、藤吉郎が竹中半兵衛の妹に手を付けた話や働き者で母思い等の理解不足はあったが、筋は追えたのだろう。
◆60年以上前の貸本の小説が、ペーパーレスで無料で本が読めるとは何とも不思議である。吉川英治の書斎は、車で僅かの時間で行ける青梅市に今も記念館としてあり、立川に来てから何度も訪れ、若い頃とは違う近親感を持った。欧米の著作権は70年である。日本も延長(映画は公表後70年)
の議論がある。だが半世紀以上の変化は驚きを実感し、誰も知らなくなる迄、何故長くするかと思ったりする。 |