床屋談義(2014.11.8)
★今回は床屋の話しです。今や“床屋”は死語です。“理髪店“も少数派になりました。小生が40年余り通っている理髪店は、先代までは床屋を名乗っていました。店主は文字通り0年程前に先代が亡くなり、息子が跡を継ぎました。店名は“ヘヤーサロン”となり、店主は“マスター”と称するようになりました。 
★理容業は斜陽業種です。淘汰の時代になり、1000円で散髪できる格安サロンが客を集めています。頭髪が淋しくなり、もはや髪型を気にする必要もないのに、格安サロンの3倍以上の料金を払って通っているのは、マスターが魅力的な人物だからです。
★マスターは3代目です。息子夫婦と娘も理容師でこのサロンで働いています。典型的な家業です。この他に3人の店員を雇っています。理容店としては大きな部類に入ります。
★マスターは若い頃、全国理容師コンテストでグランプリに輝きました。その後は審査員として、あるいは理容組合の理事などを歴任し、多くの弟子を育てました。業界では知られた存在です。
★彼は多彩な趣味の持ち主です。同時に大変な努力家です。山が好きで年数回は登山に行きます。冬は家族でスキーを楽しんでいます。モンブランやマッターホルンにも行きました。長谷川恒男が同僚だったと話したら驚いていました。
★山好きの人は優れた写真家が多いですが彼もその一人です。山の写真を店によく飾っています。先代は油絵を描いていました。その作品も店に飾っていました。親父のDNAを受け継いでいるのでしょう。陶磁器やアイヌの古道具など骨董品を収集しています。陶磁器については、小生の師匠に当たります。
★先日、「海北友松」をご存知ですかと聞かれました。長谷川等伯なら知っているが、海北は知らないというと、その資料をくれました。秀吉に見いだされたその時代の絵師です。海北氏は浅井長政の軍師を勤めた武将で、織田信長に滅ぼされました。友松は綱親の五男で一族滅亡のなか、仏門に入り1人だけ生き残りました。
★狩野法源に師事し、いずれ名を顕わすといわれた才能の持ち主でした。海北家の再興を心に秘め、敢えて狩野派を名乗らず、海北友松で通した絵師です。その作品は京都の建仁寺に残されています。
★マスターは中学を卒業すると、先代の跡継ぎとして、親父の弟子になりました。いわば徒弟制度の中で技術を習得しました。彼は床屋と雖も学問は身に付けるべきと子ども心に考えました。当時の床屋は、夜遅くまで店を開けていたため、夜学にいく時間がありませんでした。
★彼が選んだのはNHKの通信教育です。長い年月を掛けて大学まで進学し、遂に学士となりました。卒論は「氷河期と地震」です。そのコピーをもらいましたが、立派な学術論文です。
★今取り組んでいるのは「シダ(羊歯)」の研究です。散歩がてら道に生えているシダの写真を撮り、それをアルバムに収めています。三浦半島には180種類のシダがあるそうです。
★床屋のおやじは町の情報通です。あれこれ噂話を聞かせてくれます。このマスターは現代版の談義をしてくれます。これもこの店の付加価値です。             


              「現代の寺小屋」 (2014・10・4)
★9月初旬、あるユニークな保育園を参観しました。
★開園の合図と共に、園児は姿勢を正し、日の丸に向かって君が代を斉唱します。続いて神殿に般若心経を奉じ、教育勅語を唱和します。
★授業が始まると、先生の読みに合わせ論語の素読をします。いたいけな幼児が大きな声で論語を復唱する姿に感動します。大きなソロバンを使って、九九や足し算、引き算をします。途中座禅も組みます。
★こういう授業が次々に行われます。礼儀作法を重んじ、素早い動作とはきはきした受け答えを指導しています。まるで江戸時代の寺子屋を彷彿させます。事前説明がなければ、右翼か宗教教団の洗脳教育かと思うほどです。 
★この保育園の名は “オンリーワン幼稚舎” といいます。教育内容にそぐわない現代的な名称です。参観は時間の都合で前半しか見ませんでしたが、後半には英語教育が行われます。国際経験豊かな先生方を揃えています。
★この保育園が目指しているのは、グローバル時代に相応しい人材を育成することです。日本の伝統文化や精神をきちんと身に付け、外国人に対し日本の歴史や社会を英語で正しく説明出来る人材を育てることです。名称が横文字なのは、世界を見据えているからです。
★このような高い理念を掲げた保育園ですが、課題も抱えています。それは社会福祉法の壁です。保育園(保育所)は養護老人ホームなどと同様、社会福祉法の定めに合致しなければ、公益法人としての設立が認められません。
★社会福祉法人の資格を得れば、様々な優遇制度や公的助成が得られます。ところが、資産や施設の規模、教育内容、受け入れ園児(この保育園では自閉症の子も預かっています)などの規制や既得権益者からの圧力があって、この幼稚舎のようなユニークな保育園は公益法人の資格が与えられていません。
★近年、社会福祉法人の不正が顕在化してきました。理事長の不正蓄財、巨額の不正受給、杜撰な経理処理等々です。政府は対策として、民間の参入を認めるようになりました。オンリーワン幼稚舎も株式会社として経営に当たっています。これを認可外保育施設といいます。
★もう一つの課題は、この教育が保育園レベルに留まっていることです。このような高い理念を身につけても、小学校に上がれば、元の木阿弥になる恐れがあります。保護者からは小学校、中学校さらには高等学校まで、一貫した学校を作ってほしいとの強い要望があります。
★これは、いち保育園の努力で達成することは出来ません。詳細は割愛しますが、園長の志に賛同した有志が、全寮制の大学まで備えた教育特区を誘致する運動を進めています。たまたま政府は地方創生を重要政策に掲げています。これに相応しいテーマだと考えているところです。

                 
               鰻の食い納め(2014.7.31)
  ◆鰻が絶滅危惧種に指定されました。もしかすると食い納めになると思い、29日の土用の丑の日に、日本産と中国産の鰻を食べ比べました。値段は半値以下でした。見た目に差はありませんが、味はまったくお話しになりません。2度と食う気になりません。
◆うちのかみさんは、鰻が苦手です。土用の丑の日には一応2人前用意しますが、ほとんど小生が食します。この日は独り悦に入っています。
◆鰻の生態はナゾに包まれています。稚魚を輸入して、それを育てたのを日本産と呼んでいます。昔は川や池に鰻がいました。竹の魚籠を仕掛けて獲ったものです。これは正真正銘の国産です。
◆台湾は鰻の産地です。日本の鰻の大半は台湾生まれです。台湾人も鰻を食べますが、日本の食べ方とは違います。台北に「鰻亭」という鰻専門店がありました。ここは日本の鰻屋と遜色のない蒲焼と鰻重を出していました。
◆日本人は鰻好きなので、日本の各地に鰻の有名店がたくさんあります。小生の地元でも評判の鰻屋が2軒あります。そのうちの1軒は、店舗の地下から温泉が湧き出て、その温泉を利用して鰻を養殖しています。客は鰻が出来上がるまで、温泉に入って待つことが出来ます。
◆現役の頃、浜松に関連会社がありました。出張の度にそこの社長から浜名湖産の鰻をご馳走になったものです。このうまさは忘れられません。深川の鰻屋も忘れがたい店です。料亭風の老舗高級鰻屋です。地元の大親分に何度か連れて行ってもらいました。
◆われわれが生存中に、鰻を手軽に味わえる日がくるのでしょうか。なぜか今年は豊漁です。気張って食べましょう。 

        「若者よ、早く結婚して子づくりに励め! (2014.5.6)
★5月5日、“子どもの数33年連続で減少”というニュースが紙面を飾りました。このままなら、わが国の人口は50年後に8000万人台になり、高齢者の比率は現在の25%が40%になります。“超少子高齢化”の時代となります。
★政府の諮問機関である「選択する未来」委員会は、日本経済の課題として「人口急減と超高齢化」を挙げ、50年後に人口1億人を維持することを目標に提言をまとめることにしました。特殊出生率を現在の1.41から2.07に引き上げ、1億545万人程度にすることを目指します。「資源配分を高齢者から子どもへ大胆に移す」ことが柱です。
★総数を維持することは国力を保つ上で大事です。しかしそれ以上に人口ピラミッドの形を壺形から富士山形に近づけるかがより重要です。そのカギは生産年齢人口をいかに増やすかです。それにはなんといっても子どもの数を増やすしかありません。
★私事で恐縮ですが、小生は子ども3人を儲け、7人の孫を授かりました。少子化の基準に照らせば、目標をクリアし、わが国の将来にささやかながら貢献しています。小生が子づくりに励んだ頃は、高度成長期でしたが、経済的には今の若者よりもはるかに厳しい時代でした。
★3種の神器(TV、冷蔵庫、洗濯機)はなんとか手に入れたものの、車や海外旅行などは高嶺の花でした。パソコンも携帯電話もありませんでした。経済的な理由で結婚を遅らせたり、子どもの数を制限するのは理解し難いことです。 
★どの時代にあっても、将来に対する不安はあります。安全指向もわからぬわけではありませんが、何んとかなるさ、といった楽観論も大事だと思います。政府も企業も若者の不安を払しょくする手立てを考えるべきです。
★中国は一人っ子政策を転換しました。フランスでは事実婚や婚外子にも子ども手当を出しています。シンガポールでは高学歴の高給取りには、率先して結婚、子づくりするよう半ば強制的に奨励しています。
★われわれが安月給でも結婚し子育てが出来たのは、終身雇用制と年功序列賃金制があったからかもしれません。競争力を阻害するという理由から、この制度を廃止し、契約社員やフリーターなど不安定な雇用の時代になりました。これでは結婚を躊躇するのは仕方がありません。
★終身雇用と年功序列は日本人の心情にフィットした優れた制度です。欧米流のシステムがすべて正しいわけではありません。企業経営者には心理的安全弁として、日本に相応しい新制度を考えてもらいたいものです。 
★それはそれとして、“若者よ、結婚して子どもをつくろう”、それがひいては日本のため君たちの幸せになる、と強調したい。 

                
            「喜寿を祝おう」   (2014.3.22)
  ★遂にというか、とうとう「喜寿」を迎えました。喜寿といっても若い人には分からないかもしれません。77歳のことです。厳密には数え年で77歳になることです。
★歳の節目を表す関連語に還暦(61歳)、古希(70歳)、傘寿(80歳)、米寿(88歳)、卒寿(90歳)、白寿(99歳)、百寿(100歳)などがあります。これらの言葉を “賀寿” といい、長寿を祝う言葉です。喜寿は古希と傘寿の間に迎える長寿のお祝いです。
★賀寿のほとんどは区切りのよい年齢ですが、喜寿(77歳)と米寿(88歳)、白寿(99歳)はダブルナンバーになっています。中でも喜寿は特別な響きがあります。“喜” も “寿” も英語ではハッピーです。つまり喜寿とはダブルハッピー、すなわち2重の喜びという意味です。さらに “7” はラッキーナンバーです。喜寿は7が2つ繋がっているので、ダブルラッキーです。殊のほか目出度い年齢といえます。
★賀寿は中国から伝わった言葉ですが、それぞれその年齢にふさわしい味わい深い呼び名です。これに対しわが国では、75歳以上を「後期高齢者」と呼んでいます。なんとも無粋な命名です。これが発表された時、年寄りを小馬鹿にしたふざけた命名だと物議を醸しました。
★たしかに “後期” という言葉には、“後半” とか “残り少ない” というニュアンスがあります。そのことから後期高齢者とは、終末に近づいた高齢者というイメージがあるのだと思います。しかし、昨今の後期高齢者は、このイメージとはほど遠い若々しい存在です。
★“後期” とは、ある時期を過ぎた、すなわちある時期を ”超えた“ 状態だと解釈できます。”超える“ は、英語で ”スーパー“ の意味があります。したがって、後期高齢者とは “スーパー・じじばば” のことです。 喜寿を迎えたご同輩に、敬意を込めてエールを送ります。!!
        
           「漢字あれこれ」   (2014.2.23)
★日本人だからといって日本語がすべてわかるわけではありません。先日、安倍総理は「不磨の大典」という言葉を使いました。迂闊にも“不磨”は知りませんでした。辞書を引くと “けずっても減らない”、転じて “永久に変わらない”という意味でした。「不磨の大典」とは「永久に変わらない憲法」のことで、それほど立派な憲法という意味です。
★時を同じくして文化庁が「異字同訓」の事例を発表しました。漢字が違っていても読み方が同じ文字の解説です。 “はし” は “橋”か はたまた “箸”かは、よく引き合いにでます。これは前後の文章あるいはアクセントから判断できます。先日の大雪でメールをやり取りしました。 “雪がとける” の “とける” は “溶ける” が正しいのか “融ける” なのか “解ける” なのか迷いました。日本語はけっこう難しい言語です。
★漢字は中国から伝来しました。その漢字を基に平安時代、仮名が発明されました。それ以降日本では漢字仮名交じり文が使われています。仮名は日本人が創造した世界に誇れるすぐれた文化です。仮名交じり文によって表現が豊かになりました。漢字が思い出せなくても仮名を使えば文章になります。
★中国では漢字を簡略化した「簡体字」と呼ばれる文字が使われています。元の文字は「繁体字」といいます。繁体字は日本人にもわかりますが、簡体字はよくわかりません。台湾は今でも繁体字が使われているので、日本人旅行者にとっては助かります。
★日本でも当用漢字によって簡略化が進みました。大學は大学になり、齋藤は一般的には斉藤と表記します。中国の簡体字は、原型の一部を残しているもののその省略は大胆です。例えば、“?”は“歯”と連想されますが、“广”が、“広”とはなかなか思い付きません。漢字は“?字”と書きます。
★中国語ではアメリカのことを「美国」と表記します。フランスは「法国」です。これは発音を当てたものです。日本でも「米国」や「仏国」と書きますが、「アメリカ」や「フランス」とも書きます。これなどもカタカナの効用です。
★韓国も元々漢字の国です。ハングルが発明されてから、漢字ハングル交じり文が主流になりました。
最近ではハングルだけの表記が多くなり、漢字が追いやられてきた感じがします。中国の簡体字も韓国のハングルも日本の仮名とはまったく違います。仮名交じり文ははるかにすぐれた表記法だと思います。
★ワープロの出現で手書きから解放されました。その反面、変換ミスという副作用が出てきました。メールを送る時には誤字、脱字、変換ミスがないか、推敲に推敲を重ね(ちょっと大袈裟?)ています。中には、意思さえ通じればよいとばかり、変換ミスなど意に介さないご仁もいます。これはこれでその人のポリシーです。こういうおおらかさも時には必要です。
★最近はスマホの発達でつぶやきやチャットが盛んなようです。絵文字や顔文字、造語のオンパレードで、オジサンにはもはやお手上げです。(^_^)   

 
              「休眠預金」 (2014・1・28)
 休眠預金が882億円あるそうです。休眠預金とは10年間出し入れがない預金口座のことで、預金者と連絡が取れない場合は、金融機関の利益になるそうです。世の中には余裕があるというか懐の深い人がいるものです。
 これは“やらずぼったくり”じゃないかと、他人ごとながら義憤に感じていたところ、こう感じるのは小生だけではないとみえ、国会議員でも問題視し、公的活用方法を議員立法で提出するようになったと報じられています。
882億円は2011年3月期の実績で、うち341億円を払い戻したので、541億円が口座に残っているそうです。500億円前後はこの期に限らず毎年発生するようです。このまま放置しておくと、金融機関の懐に入ってしまうことから、にわかに注目されだしたようです。
 銀行業界は議員立法に抵抗していたようですが(それはそうでしょう)、過去の口座に遡って適用しないということで、容認姿勢に転じたようです。つまり、過去の分(どのくらいあるのか知りませんが)は銀行のモノになるようです。これって正しいの?
 問題はそれをどう使うかです。たとえば、新事業への支援や母子家庭などの福祉事業、東日本大震災の復興財源などが浮上しています。議論百出でまとまっていないのが実状のようです。
 諸外国でも同じ問題があり、フランスでは国家予算に組み入れています。イギリスでは環境目的に使用し、韓国では福祉事業者への貸出支援に使っているそうです。
皆さんも忘れている預金口座がないか、もう一度チェックされてはいかがですか。

 
       「今年の抱負、四文字熟語」(2014・1・12)   
  恒例の「今年の抱負、四文字熟語」が発表されました。(日経11日) いずれも傑作ぞろいです。その中から“我が意を得た”3作品を、投稿者、選者の評を添えて紹介します。

 「老化減少」 “ゴルフでボールが飛ばなくなり、ムリな筋トレなどで腰を痛める人がいる。回復ではなく老化速度を遅くさせることが重要だ”(60代男性) “長寿社会においていかに元気で長生きするかは大きな課題。老化現象とあきらめずに減少させようというたくましさ”(選者) “ムリせず健康に気を遣おう”(寸評) “ムダな努力と言うなかれ、継続は力なり!”(小生)

「我身称賛」 “ここまで独身で頑張っていることに少しは自分で自分を褒めてあげようと思う”(40代女性) “頑張る自分を褒めよう”(寸評) “賛成!自己満足も生きる知恵”(小生)

「隔日晩酌」 “晩酌は一日おき。家計の節約と健康維持をはかる”(70代男性) “休肝日をつくって財布にも優しく”(寸評) “毎日していた晩酌をあきらめ、隔日にするのは潔い。亭主関白だったに違いない男性の家計への遠慮がほのみえる”(選者) “分かっているけどやめられない”(「年中無休」の小生)

 今年はアベノミクス仕上げの年です。それに因んで、投資で儲けようと考えている人に、小生の「四文字熟語」を贈ります。

 「千載一遇」のチャンス到来です。「時期尚早」「虎視眈眈」「優柔不断」ではなく、「右顧左眄」せず「決断実行」が肝要です。とは言え「軽挙妄動」「徒手空拳」ではなく、「沈思黙考」「虚心坦懐」に「熟慮断行」してください。

 結果は「自己責任」です。「大願成就」「得意満面」はたまた「意気消沈」「捲土重来」か、年末が楽しみです。健闘を祈ります。

           「沈黙は金、雄弁は銀」 (2014・1・3)
 昨年ビッグデータについて、小論を載せていただきました。その後もビッグデータに関する記事はよく見かけるようになりました。その進歩は想像以上の速さで発展し続けているようです。人類にとってプラスになるのであれば言うことはありません。

 しかし手放しで喜べない事態が発生する兆しも出てきました。富士通が開発した「学びチャート」を利用すると「学生一人ひとりの特質が一目でつかめる」そうです。学生のリポート提出率やサーバーにある予習資料のアクセス回数など60の学習行動を分析し、それを数値化してチャートに表示すると、その学生の特質が特定されるそうです。

 たしかに、ある人のメールや文体を見ると、その人の特徴が浮かび上がります。楽天的な人だとか、悲観論者だとか、用件のみでビジネスライクだとか、その人の性格やクセが文章に表れます。その精度はデータ量に比例します。

 市川さんなどHPの管理人は、情報量が多いので“解析マシン”にかければ、たちどころに人となり、家庭環境、行動パターン、将来の予測など分かってしまうでしょう。小生もどちらかと言えばメールの回数が多い方です。サーバーに残っているデータを分析すれば“丸裸”になるかもしれません。

 それを防ぐには“沈黙は金”“言わぬが花”を貫くしかありません。諺に「沈黙は金、雄弁は銀」があります。かつては金より銀の方が、希少価値がありました。このことから沈黙より雄弁の方がよいという説があります。沈黙が美徳というのは、主張力のない人が自分の正当性のために作り出した幻想だという人もいます。

さて、あなたはどちらでしょう。 

         「たかが2cm、されど2cm」(H25.11.21)
 メタボはすっかり日常語になりました。メタボが注目されだしたのは、肥満が増えてきたからです。太ると血圧が高くなり、中性脂肪や血糖が増え、動脈硬化につながり、糖尿病や心筋梗塞、脳卒中を引き起こします。これをメタボ症候群と言います。
 医療費もバカにならないため、政府を先頭にその対策に力を入れています。“メタボ検診”なる対策もそのひとつです。食生活の改善や運動が奨励されます。生活習慣を変えカロリーを減らすことが目的です。
 メタボの判断基準に、ウエストサイズ(正式には腹囲)があります。男は85cm、女は90cmです。これはナンセンスではと物議をかもしている尺度です。それとBMIです。25以上がメタボです。小生は23.5なので問題ありません。
 数値で見る限り、小生の血圧、血糖値、コレステロールなどいずれも正常で“健康優良ジジイ”です。しかし、ウエストは84cmなので、メタボ予備軍といえないわけではありません。若かりし頃は、65cmのスレンダーでした。その頃に戻るのは不可能ですが、せめて82cmにはしたいと思って、懸命な努力をしています。
 その理由は82cmのズボンを履くことです。現役時代に買った高級?ズボンが、箪笥の肥やしになっています。処分するのはもったいないので、未だに持っています。もうひとつの理由はゴルフのためです。太ると身体のキレが悪くなります。なんとか締まった身体にして、スコアアップにつなげたいと思っています。
 その対策として、毎朝15分ストレッチをしています。週3回は2時間のウオーキングに出掛けています。外出する時は、2駅ぐらいは往復歩きます。週1回ですが、太極拳を1年前から始めました。ゴルフは月3回コースに出ています。これは長年続けています。
 同世代では、運動量は多い方だと思います。にも拘わらず、ハラがへこみません。専門家によれば、運動の消費カロリーは意外に少ないそうです。食べる量を減らすことが、メタボ対策の本命のようです。ところが、これがなかなかに難問です。
 子育て時代は、食欲旺盛な子ども達のお蔭で、結果的に“腹八分目”の生活が出来ました。それが現役を退き“老婚生活”になると、食卓は老妻と2人になり、ダンパー役がいないため、ついつい食べ過ぎてしまいます。2人分を適量作るのは難しいようです。
 かてて加えてわれわれ世代は、少年期にひもじい思いをしたため、米粒1つまで残さず食べてしまいます。現役時代は、おやつの時間などありませんでした。“在宅勤務”になると、こういう新たな習慣も生じてきます。
 いくら運動しても、それを上回るカロリーを摂取しているのですから、目標達成は困難です。たかが2cm、されど2cmです。この壁をクリアするには“もったいない”から“欲しがりません、勝つまでは”へと意識改革する以外に方策はなさそうです。

   
        ビッグデータの活用」  (2013年11月01日)
われわれの周辺には情報が充満しています。情報に質量があれば、生物はすべて圧死してしまうでしょう。これらの膨大な情報を有効活用する動きが目に付くようになりました。“ビッグデータ”です。

 人類の進歩は試行錯誤の連続です。画期的な発明、発見は偶然の産物か天才のヒラメキによってもたらされてきました。これはいかにも非効率的です。ビッグデータの活用は、この壁を破る可能性を秘めています。

 Suicaを分析して乗降客の動向を調べ、店舗の出店に活用する案が日立によって提案されました。岐阜医大では、バラバラの医療データを分析し、ムダな投薬をやめ、的確な診断につなげ医療費を削減しました。日本IBMは交通渋滞を解消する交通予測システムを開発しました。GEは製造分野に導入して生産性を向上する方針です。富士通は水道の管理を合理化し維持費を半減するサービスを開始します。政府はビッグデータを活用した交通基盤づくりに乗り出す方針を表明しました。オリムピックを見据えて、渋滞緩和、事故の減少、観光産業の活性化などへの効果が期待されます。

 その一方で、元CIA職員による機密情報漏洩事件は、独首相盗聴疑惑へと広がりをみせています。中国は知的財産をネットから盗み取っているといわれています。これらは盗聴が日常的に行われていることを示しています。われわれの身に及びかねない危うい側面です。

 曖昧模糊とした政治や経済、あるいは教育、文化にもビッグデータを積極的に役立ててほしいものです。

           
        「死生観」と「生死観」  (2013年10月13日)
人間は必ず死を迎えます。聖人君子も大金持ちも変わりはありません。その意味では、人はすべて平等です。しかし、死がいつ訪れるかは誰もわかりません。それを決めるのは誰なのでしょうか、その基準は何なのでしょうか。

 18歳の女子高校生が元交際相手の男に殺されました。福岡の整形外科病院では10人もの人が火災で亡くなりました。これは誰が決めたのでしょうか。

 死は避け得ぬ定めです。この恐怖から逃れるために宗教が生まれました。哲学もこのテーマを追求してきました。プラトンは“哲学とは死について学ぶことだ”と言っています。
それでも死に対する疑問は解けません。

 日本では「死生観」と言いますが、中国では「生死観」というようです。日本人は、死とは「この世」から「あの世」への旅と考え「死ねばみな仏」という悟りを持っています。

 中国人は、世俗的で死を忌み嫌い生に執着する傾向があり、彼らが求めるのはもっぱら現実的、現世的利益です。不死への願望や信仰が強い民族です。秦の始皇帝が不老長寿の薬を求めたという逸話は、その気質をよく表しています。

 死への探求というより、永生の追求に関心があるようです。これは文明史家黄文雄氏の指摘です。
 
   2014年投稿一覧
 投稿日    タイトル
 11月08日 床屋談義
 10月04日 現代の寺子屋
  7月31日 鰻の食い納め
  5月06日 若もよ、早く結婚して子づくりに励め!
  3月22日 喜寿を祝おう
  2月23日 漢字あれこれ
  1月28日 休眠貯金
  1月12日 今年の抱負、四文字熟語
  1月03日 沈黙は金 雄弁は銀
   2013年投稿一覧
 投稿日    タイトル
 11月21日 たかが2cm  
    されど2cm
 11月01日 ビックデータの活用びく
 10月13日 「死生観」と「生死観」
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