★中国・朝鮮は、日本の礎を築いた恩師とも言える国です。文物や文字、国の制度、宗教などの他に人・動植物までわが国の基礎となる政治・文化はすべて両国からもたらされました。長い歴史の中には、不幸な時代もありましたが、基本的には近隣友好国として良好な関係を築いてきました。
★しかし、近年はギクシャクした関係になっています。特に韓国とは国交断絶寸前の冷ややかな状態に陥っています。その原因は慰安婦や徴用工問題など国と国との約束を守らない理不尽な韓国政府の態度が根底にあります。
★中国とは尖閣諸島問題が火種ですが、韓国ほど先鋭化した状態になっていません。習近平主席を国賓として迎える計画があったほど表面的には穏やかな関係のように見受けられます。しかし大局的に見れば、深慮遠謀が見え隠れしており、韓国より深刻な事態が迫ってきています。
★中国の脅威は長期戦略にあります。わが国ではせいぜい５ヵ年計画や１０年計画が普通ですが、中国では１００年単位でもの事を考えています。上海の租界も香港の租借も期間は１００年でした。その間、じっと耐え忍び返還後のことを考えていました。そして遂に香港は中国政府の思惑通りにしてしまいました。
★次の標的は台湾です。蒋介石が台湾に渡ったのは１９４５年ですから、あと２０年余りで
１００年になります。アメリカは中国の侵攻が目前に迫っていると危機感をつのらせています。南沙諸島はあれよあれよという間に軍事拠点になりました。尖閣諸島もじわじわと布石を打っています。既成事実を積み上げてくるのが中国のやり方です。
★アメリカで一番多い留学生はダントツで中国人です。これはアメリカの先端技術を中国に持ち帰るためです。孔子学院もその線上にあります。これもしたたかな中国流戦略です。アメリカでは孔子学院を国家安全保障上の脅威とみなし、閉鎖を進めています。
★中国は世界一の経済大国、軍事大国を目指し着々と手を打ってきました。２０２７年は人民解放１００周年です。ＧＤＰは２０３０年にはアメリカを抜いて世界一になることは確実です。「一帯一路」は広域経済圏構想ですが、実質は版図拡大戦略です。その考えの根源は、中国が世界の文化・政治の中心だという「中華思想」です。すべてはこれに沿って進んでいます。
★バイデン政権は、中国の動きに対し対決姿勢を鮮明にしています。新疆ウイグル族や香港の人権問題、先端技術分野、軍備拡張、海洋進出、台湾侵攻など、同盟友好国に団結を呼びかけ、次々と対抗策を打ち出しています。米中関係は緊張感が高まっています。
★中国では、古より余多の王朝が勃興し滅亡しました。未来永劫の政権はありません。習王朝もいずれ終焉を迎えるでしょう。その引き金は貧富の格差拡大かもしれません。中国のジニ指数は０.４７（２０１７年）で世界一です。第２位のアメリカは０.３９,日本は０.３４（第４位）です。社会主義国家が貧富の差ＮＯ.１というのは驚きです。
★ジニ係数０.４が、社会騒乱が起きる危険ラインと言われています。中国は富の分配が不平等になり、社会の不安定性が増幅している、と専門家は指摘しています。

★今や「加齢現象」という言葉は、日常用語として定着しました。医者も診断に困ると、「加齢現象ですね」と言います。われわれが現役時代にはなかった用語です。高齢化の進展と共に使われ出したのだと思います。
★用語辞典によれば、「疾病や事故によるものではなく、時間の経過に伴って起きる生体の構造の緩慢な変化」のことで、歳を取っていく過程とあります。
★生物には寿命があります。いずれ死に至りますが、事故などの偶然死を除けば、加齢を重ねやがてあの世行きとなります。
★加齢現象はなかなか厄介です。最初に訪れるのが肉体の衰えです。ウオーキングが出来てもランニングは出来ません。歩けるうちはまだよい方で、やがて階段を上るのが大儀になり、ちょっとした坂道も息切れするようになります。結局、動くのが億劫になり、家に閉じこもりがちになります。
★さらに厄介なのは、記憶の衰えです。昨日やったことを思い出せません。夕べの晩飯に何が出たのかとっさに出てきません。これを防ぐ方法として、日記が役に立ちます。丸橋さんは14年間続けています。小生も負けじと40年以上続けています。
★事細かに書く必要はありません。昨日起きたことややったことを断片的に書くだけでも、ボケ防止になります。昨日の夕飯のおかずをメモることも有効です。これもなかなか思い出せません。食卓に並んだおかずを先ずひとつ思い出します。それを手掛かりに、その周りにあったおかずを思い出すと、芋ずる式におかずが出てきます。小生はカレンダーにメインのおかずを書いています。
★読売の夕刊に月1回、黒井千次さんのエッセイが載ります。黒井さんは高齢者（89歳）なので、高齢者が陥る身辺雑記を書いています。よくつまずくとか、顔は分かるが名前が出てこないといった類いです。スケジュール表についても、かつては外出先や会合の目的、人と会う約束がびっしり記されていたが、今は記載がほとんどなく、ぽつんぽつんと記されている先はすべて病院である、と。
★市川さんは、そんなことで原稿料を稼ぐのはけしからんと言っています。小生は黒井さんの意見に同感しています。昨日のテーマは、「日付と曜日」でした。これもよく起きる現象です。その対策のひとつとして、ごみの収集日について述べています。「生ごみ」は月曜日、「ビン・缶・ペットボトル」は火曜日といったことです。
★「とくし丸」（移動スーパー）が来るようになって１０ヶ月が経ちました。毎週火曜と金曜日は、声を掛けなくても、自然と人が集まるようになりました。何かと関連づけることは、記憶を助ける効果があります。
　それぞれ工夫を凝らし、加齢現象の進行を食い止めましょう。

★われわれ世代（８０代）の少年時代は、テレビもパソコンも携帯電話もなかった。わずか１００年足らずの間に、飛躍的な技術革新が起こり、われわれを取り巻く生活環境は驚くべき変化を遂げた。
★それがどんなに大きかったかをわが少年時代にタイムスリップして振り返ってみたい。当時の娯楽と言えば、① 読書、② ラジオ、③ 映画が３大娯楽だった。この３つは今でも存在しているが、いずれも衰退し斜陽産業になった。
★３大娯楽のトップは読書である。分野を問わず、手に入るものは手当たり次第読んだ。戦時中愛読したのは「のらくろ」「冒険ダン吉」「タンクタンクロー」だった。中でも「のらくろ」は全巻揃えるほど愛読した。表紙の装幀が布製で豪華だった。戦後は「少年倶楽部」を購読した。
★２番目はラジオだ。ニュースや連続ドラマ、歌謡番組、落語・漫談などは家族が集まって聞いた。当時の人気番組は「鐘の鳴る丘」だった。歌手では並木路子、美空ひばり、東海林太郎、藤山一郎、田端義夫などがスターだった。落語・漫談も好きだった。志ん生や円朝、小さん、エノケン、ヱンタツ・アチャコ、古川ロッパ、金語楼の話芸はよく聞いた。
★わが家にラジオは１台しかなく、独占することは出来なかった。家族団欒が終わった後、夜は枕元にラジオを置いて、徳川夢声の「宮本武蔵」を夢中で聞いた。一乗寺下がり松の段は今も耳に残っている。
★映画はお金がかかるので、そう頻繁に見ることは出来なかった。それでも正月はアラカン（嵐寛寿郎）の「鞍馬天狗」、長谷川一夫の「銭形平次」、市川右太衛門の「旗本退屈男」は欠かさず観に行った。初めて観た洋画は「死の谷」だった。主演のジョエル・マックリーとヴァージニア・メイヨは最初に覚えたアメリカの俳優だ。“シェリフ”が保安官だということを、カナダ帰りの友達に教えてもらった。
★ジョニー・ワイズミューラーの「ターザン」もよく見た。近所の山でターザンごっこをした。この山に灌漑用の溜池があり、春の暖かい日を選んで初泳ぎをした。これは秘かな自慢だった。
★メンコ、ビー玉、ベーゴマもよくやった。この三つは得意だった。勝ったビー玉を大きなビンに入れ庭に埋めて隠したりした。パチンコも時々やったが、これはあまり面白くなかったので続かなかった。
★運動は得意だった。かけっこは早かった。運動会では賞を総なめし、ノート、鉛筆は買わずに済んだ。一番熱中したのは野球だ。小学校３年の担任は、軍隊から復員したばかりの若い先生だった。野球に力を入れチームを作った。小生もそれに加わり毎日暗くなるまでやった。小学校の隣に女学校（今は県立高校）があった。この女学校のソフトボールチームと対抗試合をよくやった。
★野球と言えば、小生は赤バットの川上時代から大のジャイアンツ・ファンだ。当時の選手ブロマイドを駄菓子屋で集めて宝物にしていた。１番セカンド千葉、２番ショート白石、３番センター青田、４番ファースト川上、５番ライト南村、６番レフト平山、７番サード宇野、８番キャッチャー吉原、９番ピッチャー別所がベストナインだった。
★今の子ども達は、サッカー、ＳＮＳ、アニメが娯楽の中心のようだ。わが少年時代と比べると大きな違いだ。ご同輩の方々、皆さんの少年時代はどうでしたか。

★１人の人間が一生かかって習得する知識や経験は、森羅万象に照らせば微々たるものです。凡人は、自分で見たり聞いたりしたことしか、信じませんし、身に付きません。夢は誰でも見ます。しかし、なぜ夢が現れるのか、夢にはどういう意味があるのかなど、夢の背景や深層心理を考えることはしません。見えないことを理解するのは、凡人には難しいことです。
★一方、世の中には卓越した人物がいます。天才、偉人、哲人、巨人、聖人と呼ばれる人々です。これらの超人は、凡人には見えない宇宙の成り立ちや生命の起源、死後の世界、神の存在、自然との共生などを解き明かし、人類を取り巻く根源的な課題に燈明を灯します。ソクラテス、孔子、仏陀、キリストは世界四大聖人と言われています。同じ人間とは到底信じられません。
★「熊楠」（河出書房新社）は、南方熊楠の信奉者でかつ研究家である批評家の安藤礼二（多摩美大教授）が、３０年の歳月をかけてまとめた熊楠の評論集です。書名は「熊楠」ですが、本書に登場するもうひとりの主役は鈴木大拙です。むしろ「熊楠と大拙」にした方が相応しかったと思います。この２人は近代日本思想史の再構築をした巨星と言えます。
★南方熊楠は、風変りな名前から、一体何者なのか、と前々から引っかかっていました。しかし、熊楠の実像は本書を読むまで知りませんでした。熊楠は１８６７年和歌山で生まれました。父親が信仰していた藤白神社に、熊野神がこもる子守楠神社があり、そこから“熊”と“楠”の２文字を取って熊楠と命名しました。筆名ではなく本名です。
★幼少の頃から学問に励み、英才として育ちました。東大を中退後、アメリカを経てイギリスに渡り、大英博物館に籠って、内外の文献を読破し、生命の起源について研さんを積みました。英語、フランス語、ドイツ語の他多言語に通じ、論文は原語で発表してきました。
★熊楠は、植物学者、生物学者、民俗学者として知られています。中でも有名なのは「粘菌」の研究者としての顔です。１９２９年、昭和天皇に粘菌について御前進講をされ、粘菌の標本１１０種を献上したほどです。彼の赫赫たる業績にも関わらず、一般に余り知られていないのは、生涯在野の研究者として要職に就かなかったからです。
★本書「熊楠」では、生物学者と言うよりは、宗教家、思想家として彼を捉えています。熊楠にとって「粘菌」は生物学の対象ではなく、生命体の起源を追求する対象であり、最終的にそれを曼荼羅に現わしました。法龍（高野山の高僧土宜法龍）に、“粘菌とは、精神の起源、つまり「意思」の起源である。意思から森羅万象すべてが生まれ、意思こそが森羅万象すべての基礎になった”と繰り返し説いています。熊楠の業績を正確かつ簡潔に伝えるのは難しいので、著者の要約を引用します。
★熊楠は、生涯をかけて、１つのビジョンを追い求めた。それを一言でまとめていえば、非生命と生命との差異、物質と精神との差異を乗り越え、森羅万象あらゆるものが発生してくる根源的な場を探究すること、となるであろう。熊楠は、そのような根源的な場を、まずは粘菌に求め、さらにそれが曼陀羅という形象に昇華され、最終的には潜在意識の構造的な把握という形に落ち着いた。
★鈴木大拙は、本名貞太郎、１８７０年石川県金沢市で生まれました。熊楠と同世代です。勉学のため上京し、鎌倉の円覚寺で禅の修行をしました。生涯の師釈宗演から「大拙」の居士号を授けられ、宗演の支援でアメリカに渡りました。その頃、熊楠はロンドンにいました。
★１８９３年、シカゴ万博に併設して、万国宗教会議が開催されました。この会議は、日本の仏教を根底から見直す歴史的な場になりました。仏教はインドで生まれ、中国を経て、日本に伝来しました。古代から近世に至るまで日本人が学んだ仏教は、サンスクリット語から漢語に翻訳された教義です。サンスクリット語はギリシャ語と文法構造が等しいことから、ヨーロッパの文献学者は、仏典をヨーロッパの古典を読み解くように読み進めました。その結果、極東の大乗仏教は、始祖（仏陀）が直接説いた教えではない（「大乗非仏説」）と断じました。
★シカゴにいた大拙とロンドンにいた熊楠は、海外の動向について手紙でやり取りをしていました。それは大拙の生涯の師である臨済宗の釈宗演や熊楠の師であり友人である真言宗の土宜法龍にも伝わっていました。万国宗教会議には、この２人の僧侶と天台宗の蘆津実全、浄土真宗の八淵蟠龍の４人が参加しました。いずれも若く、外国語に優れていました。４人は公の派遣ではなく、やむにやまれぬ情熱にうながされ、周囲の協力のもと、私的な立場から、それぞれの宗派を代表するかたちで参加しました。若き僧侶たちは、世界に向かって「大乗仏教」の豊かな可能性について主張しなければなりませんでした。世界のただ中で「大乗仏教」とは何であるかを定義し、それが現代社会においてもつ可能性を英語で説明しました。それが「東方大乗仏教」でした。
★鈴木大拙は、生涯をかけて「東方仏教」を成り立たせる基盤である「あるがまま」としての真如（永遠の真理）、如来蔵としての「心」を探究した宗教家にして表現者でした。大拙は漢語の「大乗起信論」の英訳や処女作「大乗仏教概論」を英語で著し、禅及び日本の仏教を世界に広めた仏教哲学者でした。　以上、「熊楠」の要点を紹介しました。天才の足跡を、簡潔にまとめるのは至難の技です。詳細は本書をお読みください。

★「土用の丑の日」は「半夏生」と同じ季節の変わり目を意味する雑節です。今年の「土用の丑の日」は７月２６日と８月４日です。３１日、女房は気張って国産の「蒲焼」を振る舞ってくれました。久しぶりにうまい蒲焼を食べました。近年は稚魚の激減で、うなぎは高級魚になりました。今年は稚魚が豊漁で、いくぶん安くなったようです。
★小学１年生の頃、疎開先の親父の実家（千葉）で、どじょうや鮒、タニシなどとうなぎも獲ったものです。夕方、竹かごを田んぼや沼に仕掛け、翌朝掛かっているか見に行ったものです。その頃はうなぎのうまさなどわからずに食べていました。
★うなぎをうまいと思ったのは、浜名湖のうなぎ料理屋で食べたうなぎです。３０代の頃、時折、浜松の舞阪工場に生産技術の指導に行きました。そのお礼にと、浜名湖の老舗料亭に一席を設けてくれました。浜名湖はうなぎの一大産地で、湖畔にはうなぎ料理屋が軒を連ねています。ここのうなぎ料理は絶品で、それ以降これに勝るうなぎ料理にお目にかかったことはありません。
★白焼き、肝串、肝吸など蒲焼以外にもうなぎの料理があることを知ったのも、この時が初めてです。その後も何度か舞阪に行く機会がありました。浜名湖のうなぎ料理を楽しみに、よろこんで行ったものです。
★深川にある江戸時代創業のうなぎ料理屋で食べた「うな重」も絶品で、忘れられません。この店は、大物総会屋の自宅から歩いて行けるところにありました。台湾プロジェクトの報告を兼ねて、何度かご機嫌伺いにお邪魔し、ご馳走になりました。
★台湾はうなぎの稚魚の産地です。台湾料理にもうなぎ料理はありますが、日本のうなぎ料理には遠く及びません。台北に日本人経営の「うなぎ亭」という専門店があります。駐在員はよくここを利用したものです。
★地元横須賀にも何軒かうなぎ屋があります。知名度の高いのは、どぶ板通りの「うな八」です。タレが濃いのが特徴です。もうひとつは衣笠インターに近い「うな萩」です。ここは裏通りの目立たないところにあり、隠れ家的な店です。鉱泉の内風呂があり、ひと風呂浴びてうなぎ料理を味わうことが出来ます。
★われわれが子どもの頃、うなぎは大衆料理でした。今や高級料理になってしまい、年に数回しか味わうことが出来ません。未だに浜名湖のうなぎ料理を超えるうなぎ料理に出くわしたことはありません。もう１度味わってみたいものです。

★バイデン大統領初の施政方針演説は「サンキュー、マダム・スピーカー（ナンシー・ペロシ下院議長）、マダム・バイスプレジデント（ハリス副大統領）」と、２人の魅力的な女性議長に呼び掛けるドラマチックな形式で始まりました。演説は原稿を棒読みするのではなく、聴衆に直接語り掛ける口調で、誠実な人柄が滲み出ていました。余談ながら、小生はナンシーのファンです！
★バイデンは、ハネムーンの１００日を無難に乗り切り、支持率も５０％を超え、存在感を高めています。前大統領のトランプが荒唐無稽、予測不能な自己中大統領だったのに対し、バイデンの政策は現実的、課題解決型で、いかにも老練・熟達した政策通としての安定感が際立っています。
★バイデンが真っ先に取り組んだのは、トランプが残した負の遺産の払拭でした。トランプの尻ぬぐいです。孤立主義からの決別、同盟関係の修復、国際機関への回帰、移民政策の見直し、分断の克服と団結の呼びかけなどなどです。
★新政策としては、ワクチン接種の促進、経済再生戦略、中間層の雇用創出、対中競争力の強化、インド太平洋の防衛、気候変動重視、人権問題、台湾への配慮、北朝鮮新政策など、多くの人が納得する方針を矢継ぎ早に打ち出し、実行に移しています。わかり易さ、言うべきことははっきり言う「言行一致」の姿勢が、好感されている背景だと思います。
★先の大統領選では、長い議員歴、副大統領だったにもかかわらず、目立った実績がないと批判され、セクハラ、優柔不断などのネガティブキャンペーンがありました。加えて、高齢と持病があることから、健康不安説が流され、１期だけの短命大統領に終わるだろうと言われました。小生もこの情報を鵜呑みにし、ハリス副大統領に期待をかけて来ました。
★しかし、就任後の言動はその批判を覆す目覚ましいものがあります。国内外の諸問題を的確に捉え、その処方箋を示し、間髪を入れず行動に移しています。バイデンの特徴は問題点と対策を“見える化”していることです。政治家としての長いキャリアが伊達でなかったことを証明しています。
★バイデンの政策は多岐に亘っていますが、重点政策は①新型コロナの抑え込み、②経済再建を目指した大型財政出動、③中国に対する強硬姿勢、④気候変動へのリーダーシップ、⑤中産階級の底上げだと思います。
★この中で敢えて絞れば、①中国対策と②気候変動問題でしょう。小生が特に注目しているのは②です。気候変動問題は地球規模の重要課題として、誰もが懸念を抱いてきたテーマです。「京都議定書」や「パリ協定」はよく知られていますが、一般的な受け止め方は様々で、どちらかと言えば地味なテーマです。科学者やＮＧＯ、経営者の一部が主導してきたのが実態で、政治家でこの問題に真正面から立ち向かうのはバイデンが初めてです。
★超大国アメリカの大統領が、この問題を世界の最重点課題として取り上げ、強力な布陣を配した対策チームを立ち上げ、自ら先頭に立つ決意を表明しました。これこそがバイデンの独自性を出した出色の政策だと思います。党派対立の火種は依然くすぶっていますが、「日はまた昇る」にチャレンジするバイデンに大いなるエールを送りたいと思います。

2021年前半投稿一覧
投稿日	タイトル
9月24日	加齢現象
8月02日	土用の丑の日
6月06日	熊楠と大拙
5月07日	バイデン大統領にエール
4月02日	中国の野望
2月28日	少年時代の娯楽