犬山城のお話し（2018・4・2）
★中学の同級生に成瀬という男がいる。敢えて実名を出すのは、彼が「全国成瀬会」の会長だったからだ。先日、「犬山城のシャチホコ復元」というニュースがあった。名古屋城は金のシャチホコだが、犬山城は瓦で出来ている。 ★そのシャチホコが、昨年７月落雷で壊れてしまった。奈良県の瓦工場が忠実に復元し、２月２６日に取り付け工事が行われた。そのニュースがマスメディアで報じられた。「成瀬会」ではその費用の足しにと寄付を申し出たが、丁重に断られた、と彼から報告があった。 ★程なくして、３月１５日に日本テレビの「歴史捜査」で、犬山城の特集番組が放映されるとのメールが来た。時間がとれたら見るよ、と返事した。録画して翌日見た。彼がなぜ犬山城にこだわっているのか、この番組を見て分かった。犬山城は家康の重臣だった成瀬正成が初代城主になり、以後９代まで成瀬家が城主をつとめた。彼から事前の説明はなかったが、正成は成瀬一族にとっては、誇るべき歴史上の人物なのだろう。 ★城と言えば大坂城、名古屋城、姫路城、松本城、熊本城、弘前城などがすぐに思い浮かぶ。犬山城も知ってはいるが、小生にはなじみの薄い城だった。しかしこの番組を見て、この認識が間違いだったことを知った。現存する城（天守閣）は１２あるが、国宝に指定されているのは、松本城、犬山城、彦根城、姫路城、松江城の５城である。 ★犬山城は昭和１０年、国宝に指定された。それほど価値の高い名城とは知らなかった。姿かたちが美しいのはもちろんだが、難攻不落の城として備えが完璧である。この城は１５３７年、信長の叔父信康によって築城された。木曽川を背に高さ８５ｍの小高い山の上に建っている。東は岩盤を削りアイガーの北壁のような垂直の壁にした。西には石垣と空堀を巡らし、三方の防御を固めた。正面のすそ野には城下町が広がっている。城下には５つの大手門、９つの木戸、３つの曲輪（くるわ）、屈曲した道路など、外敵の侵入を阻止する様々な仕掛けが施されている。これを「惣構え」と呼ぶ。 ★現在「惣構え」が残っているところは少ない。犬山城がその原型をとどめているのは、明治維新まで成瀬家が城主をつとめて来たからだろう。成瀬が自慢するのも当然である。余談だが現在の城主（財団法人理事長）は成瀬淳子さん（７０代）である。地元では「お姫様」と呼ばれているそうだ。彼女には子がない。成瀬家の城主は彼女で途絶えるだろうとは彼の弁である。

受動喫煙（2018・5・1）
★平成８年に３４８３億本だったわが国の紙巻きたばこは、昨年１４５５億本と半分以下に激減、過去最低を記録した。ＪＴは海外戦略が功を奏し業績は悪くない。他方、世界最大のたばこメーカー・フィリップモリスは、紙巻きたばこの販売不振で業績が悪化した。 ★禁煙が定着しあちこちにあった灰皿が消えた。愛煙家には肩身の狭い時代になった。周りを見ても喫煙者は、数１０人に１人いるかどうかである。小生はタバコを吸わない。たばこの臭いや煙には敏感である。全面禁煙に大賛成だ。たばこ好きの友は１本１万円になればやめるが、千円なら続けるという。肺がんとの因果関係はない、とうそぶいている。 ★“ 日本は世界有数の禁煙先進国になった！”と思いきや、昨年４月、日本の喫煙状況を視察した世界保健機関（ＷＨＯ）のダグラス・ベッチャー部長は、受動喫煙対策について、日本は「完全に時代遅れだ」と痛烈に批判した。 ★国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）は、１９８８年以降のオリンピックに禁煙の方針を採択した。２０１０年、ＷＨＯも「たばこのない五輪」を目指すとの協定に調印した。オリンピック開催国にとって屋内禁煙化は必須条件になった。 ★がん研究の権威垣添忠生氏によれば、わが国では受動喫煙で年間１万５千人が亡くなっており、厚労省の有識者検討会は、受動喫煙が肺がん、脳卒中、心筋梗塞などの原因になるのは「確実」との報告をした、と述べている。 ★受動喫煙を防止する最も効果的な対策は、人が多く利用する飲食店や居酒屋を全面禁煙にすることだ。これに対し飲食店側から「売り上げが減る」との反対運動が起きている。世界的なある研究によれば、飲食店を禁煙にしても、売り上げは低下しないどころか、屋内全面禁煙により、それまで近づかなかった非喫煙者や子ども連れの家族が増え、むしろ増収になる店があるという。垣添先生は、反対運動の背景には、たばこ産業の姿が透けて見えると指摘する。 ★政府は、受動喫煙対策を盛り込んだ健康増進法改定案を今国会に提出し、オリパラ開催前の２０年４月に全面施行を目指している。骨子は、小規模飲食店に喫煙を認めるということだ。 ★これは世界の潮流に逆行する。日本国民の健康を守れないばかりか、オリパラに訪れる観光客や選手に不快な思いをさせ、わが国に対する不信感を生みかねない。受動喫煙対策に力を入れない国にオリパラを開催する資格はない、と垣添先生は断じている。

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一強多弱現象(2018・2・7)
★政界は一強多弱時代です。「希望」が「失望」に変わり、多弱は消滅の危機に直面しています。一　強は独裁に近づいてきました。わが選挙区は小泉王国です。勝敗は問題ではなく、どれだけ票を獲得　するかが問われています。 ★一強多弱は優勝劣敗でもあります。これは政界だけでなく、産業界や地域・周辺にもじわじわと現　れています。気が付けば、「一強多弱現象」がアチコチに見受けられます。 ★今年になって、町の新聞販売店が、相次いで閉店しました。朝日新聞と毎日新聞の取次店です。朝　日は執拗なバッシングにあっています。購読数が４年間で１０５万部減ったそうです。販売店の閉鎖　はそれを裏付けています。新聞協会によれば、２０１７年の大手新聞社の発行部数は、読売８８３万　部、朝日６２５万部、毎日３０１万部、日経２７１万部になっています。 ★本屋も不況業種です。わが地域にある昭和２５年創業のＨ書房が、昨年春に大手書店の文教堂（本　店川崎）に買収？され、６５年の歴史に幕を閉じました。 ★小生の叔父（故人）は、駅前で戦前から書店を営んでいました。１０年ほど前に経営が行き詰まり　廃業に追い込まれました。生前叔父は、本屋の経営はキビシイと会うたびにこぼしていました。根本原因は書籍ばなれですが、もともとこの商売は利益の薄い商売のようです。 ★これを乗り切る方策は薄利多売です。つまり店舗を増やし規模のメリットで稼ぐ方法です。Ｈ書房　は次々と店舗網を拡大し、わが地域では一強の座を確立しました。叔父によれば、Ｈ書房のオーナー　はやり手で、えげつない、辣腕の持ち主だと言っていました。 ★叔父は反骨精神旺盛で政治力・行動力のある熱血漢でした。同業者の会合で共存共栄の必要性を強　調しましたが、無視されたと批判していました。盤石と思われていたＨ書房があえなく全国規模の大　手書店に飲み込まれてしまいました。真相は不明です。 ★個人経営のパン屋と茶舗店も同じです。個性的なパン屋さんは消えてしまいました。Y製パンが市　場を席捲しています。量り売りの茶葉店も同様です。茶葉を手で扱うのが不衛生という顧客もいるそ　うです。お茶はネット通販時代になりました。 ★ゴルフ場も苦境に立たされています。ゴルフ人口が減り続けていることが原因です。かつてわが国　ではゴルフブームが起き、各地にゴルフ場が多数出来ました。バブルの崩壊でゴルフ場の経営が破た　んし、倒産や買収などが相次いでいます。 ★ゴルフは “紳士のスポーツ” と言われています。しかし、ゴルフ場の経営はとても “紳士の経　営”とは言えません。会員権が紙くず同然になったケースは枚挙にいとまがありません。 ★目下、この業界で覇権を競っているのが、アコーディア・ゴルフとＰＧＭホールディングスです。　経営の行き詰ったゴルフ場を次々に買収し、両社とも１００を超すゴルフ場を傘下に収めました。両　社の沿革を見れば、紳士の経営でないことは明らかです。 ★かつて巨人は９連覇を達成し一強時代を築きました。長嶋茂雄は、巨人は不滅だといいました。白　鵬も一人横綱として角界に君臨してきました。しかし、一強は永遠ではありません。いずれ終焉が訪　れます。慢心は禁物です。

2018年投稿一覧
投稿日	タイトル
11月14日	スラウェシ島
9月16日	サマータイムと　　　　　体内時計
8月12日	平均寿命世界　　　　ランキング
6月15日	ハワイ移住150年
6月02日	パーキンソン病
5月1日	受動喫煙
4月2日	犬山城のお話し
3月5日	氏名にフリガナ
2月7日	一強多弱現象
1月12日	シエアハウス・　　　　　　プロジェクト

シェアハウス・プロジェクト(2018・1・12)
★近年、カーシェアやシェアハウスなどの「シェア」が広がりを見せてきました。「シェア」とは分かち合うという意味ですが、共有・共同という意味もあります。経済性・利便性などのメリットから若者たちに人気があり、時代が生んだ新しい動向です。 ★昨年末、親しい仲間で「シェアハウス」をテーマに新しいプロジェクトがスタートしました。中小企業の経営者、保護司、町内役員などがメンバーです。必要に応じ、介護の専門家、行政の担当者、地主などを加える予定です。 ★一般的にシェアハウスは若者が対象です。ある調査によれば、日本人の若者が６０％、外国人が４０％と言われています。高齢者向けのシェアハウスはないわけではありませんが、まだ少数派です。新プロジェクトは「シニア向けシェアハウス」をターゲットにしています。 ★少子高齢化に伴い、日本の社会は大きな変化が起きています。価値観も変わってきました。核家族化が常態となり、子が親の面倒を見るという伝統は過去のものになりました。わが家も例外ではありません。 ★高齢化は肉体の衰え、認知症、介護、入院、生活費、一人暮らしなど深刻な問題を含んでいます。高齢者の養護施設として、特養ホームや有料老人ホームがありますが、入居には介護度や頭金など制約条件があり、誰でも入れるわけではありません。老夫婦はいずれ一人暮らしとなります。その前途も多難です。一方、健康で運動や趣味に生きがいを見出している元気なお年寄りもいます。 ★一等地の地主は別として、交通不便な土地や谷戸の地主は、土地活用に困っています。アパート経営も同様です。空き家対策も社会問題になっています。ホームレスこそ見かけなくなりましたが、生活保護者にまつわる問題も内在しています。 ★われわれの周辺や身近には、行政の及ばない歪みや社会的ニーズが潜んでいます。これら断片的な問題点を収斂させ、ひとつの企画にまとめ上げるのがプロジェクトチームのネライです。喩えていえば、ジグソーパズルのピースを組み合わせ、ひとつの絵にすることです。 ★解決すべき課題は沢山あります。どのような施設にするのか、入居者の資格要件をどうするのか、必要資金はどう調達するのか、運営体制はどうするのか、事業として成り立つのか等々です。 ★まだその姿は見えません。一人暮らしの寂しさが解消でき、趣味や好みを共有し、気の合う仲間と共に過ごせるコミュニティ「横須賀版シニアシェアハウス」がスタート出来れば、ひとまず完結です。

氏名にフリガナ（2018・3・5）
★日本語には漢字、ひらがな、カタカナがあって便利な言語である。年を取ると、とっさに漢字が出てこないが、ひらがなやカタカナで一時しのぎが出来る。英語のスペルが分からなくても、カタカナで代用出来るが、英語にはそのような機能はない。 ★漢字は字面からその意味や背景が想像でき、実に奥の深い文字だ。漢字の母国である中国では文字の簡略化が進み、漢字の奥深さが失われてきた。韓国もかつては漢字が使われていた。今はハングルになり、漢字の伝統は消えてしまった。日本も新字体（当用漢字）となり、旧字体は過去のものになった。 ★漢字を見ればおおよその意味が分かる。しかし、最近は意味不明の漢字が目立つようになった。例えば「瀬取り」である。「北朝鮮船籍とモルティブ船籍のタンカーが東シナ海の公海上で“瀬取り”を行った」などと報道されている。手持ちの国語辞典には“瀬取り”は載っていない。大辞林によれば、“親船の積み荷を小船に移し取ること”とある。元々は石油業界の専門用語のようだ。因みに英語では、ship to ship transferと言う。こちらの方が分かりやすい。 ★もうひとつ例を挙げれば、「裁量労働制」である。これも専門用語で労基法が定める“みなし労働時間制”のことだ。労働時間に関係なく、労使で決めた時間で働いたものとみなされる。つまり、決めた時間を超えても残業代は払わない制度である。この２つは、解説を読めばああそうかと思わないでもないが、字面からはそのような意味は想像できない。 ★「裁量労働制」は厚労省のデータがいい加減だったことから、政府は断念に追い込まれた。昔、平社員だった頃、残業協定（サブロク協定）で、残業の枠が決められていた。非組（管理職）になると、残業協定の対象外となり、長時間働いても残業代は付かなかった。実質賃金は、部下の方が多いことは珍しくなかった。中小零細企業では労組もなく、サブロク協定などは有名無実だった。 ★「裁量労働制」は、社員の「非組化」であり「人件費節約法案」である。労働側や野党が反対するのは、その本質を見抜いているからだ。働き方改革には、「高度プロフェショナル制度」も含まれている。これは漢字ではないが、この方は分かりやすい。 ★漢字には音読みと訓読み、音訓混じり読み、当て字など読み方が多様で難しい。学校の先生は、生徒の名前が読めないと困惑している。行政サービスを担う自治体は、さらに深刻である。名前を間違えると年金記録にミスが発生する。効率的な電子化への取り組みにも障害になる。 ★政府はこの打開策として、氏名にフリガナを付ける運用指針を決めることになった。これはよいアイデアだ。効果があるだろう。

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　　　　　　　　　　スラウェシ島（2018・11・14）

平均寿命世界ランキング（2018・8・12）
★２０１６年度の平均寿命世界ランキングが発表された。日本人の平均寿命は男性が８１．０９歳で世界第３位、女性は８７．２６歳で世界第２位である。トップは男女とも香港。 ★医学博士の左門新氏によれば、小さな国の方が長寿になるという。その理由は①貧富の差が小さい、②教育水準が高い、③健康への意識が強く、食生活や規則正しい生活に気を使うためとのこと。 ★香港が世界一という理由は、季節に合った薬膳スープを飲み、具合が悪いと漢方薬を調合してもらい、太極拳と飲茶でストレスを解消し、家族を大切にして長寿の祝いを欠かさない、喫煙率が低い（１１％、日本は１９％）からという。 ★これは中国、台湾、シンガポールにも共通する習慣だが、中国は１５位以内にも入っていない。日本はこれに当てはまらないが、長い間長寿国を維持している。にわかには信じがたい学説である。 ★日本人の長寿については、世界的に注目を集め、研究が進められている。研究者が長寿の理由に挙げているのは、①食習慣と②医療制度である。これに加え遺伝的要素を挙げる学者もいる。黄色人種は白人より長生きするという。中でも和食は脂肪の摂取量が非常に少なく、健康食として世界中にブームを巻き起こしている。 ★大国は人口も多く様々な階層がいるので、平均値が低くなるのはやむを得ない。アメリカは中国同様１５位以内に入っていない。ロシアの平均寿命は男性が６６．５歳、女性が７７．０歳である。男性の平均寿命が低いのはアルコール依存度が高いからだという。こうして見ると、日本は世界に冠たる長寿大国である。 ★長寿記録を更新続ける中、最近では “１００歳時代の到来” と喧伝するようになってきた。これは胡散臭い標語である。人類にとって幸せなことなのか、よくよく考えてみる必要がある。 ★マレーシアのマハティールさんは、９２歳で首相に返り咲いた。わが大勲位中曽根康弘元首相は、１００歳を迎えたが、頭は冴え渡っている。台湾の元総統李登輝さんも９５歳ながら、台湾独立への意欲は衰えない。１００歳時代を代表する先達である。 ★若い頃、自分の寿命は両親と同じ程度だろうと思っていた。気が付けば、両親を超え、平均寿命まで来てしまった。もういつ逝ってもおかしくない。ところが、世の中１００歳時代だという。まさか１００歳まで生きることはないだろうが、そうだとすれば、人生設計を見直さなければならない。

パーキンソン病（2018・6・2）
★私の妹は９年前にパーキンソン病を発症した。身内や身近にパーキンソン病の人はいなかった（知らなかった）ので、これを聞いた時はびっくりした。それ以来、パーキンソン病を意識するようになった。そうしてみると、パーキンソン病の人がけっこういることに気が付いた。妹がパーキンソン病だと言うと、実は私の母も、叔父もパーキンソン病だと明かす人がかなりいる。町内でもあの人もこの人もパーキンソン病だと分かってきた。全国では１５万人ほどいるそうだ。高齢者が圧倒的に多い。 ★私が子どもの頃は、結核が病気の王様だった。パーキンソン病は聞いた記憶がない。戦後明らかになった病気かと思ったら、１８１７年イギリスの外科医ジェームス・パーキンソンが発見した病気だった。なんと江戸時代である。人に知られたくない病気だったのかもしれない。 ★かのアドルフ・ヒトラーがパーキンソン病だった。この他有名人ではオードリー・ヘップバーン、モハメド・アリ、フィデル・カスト、トウ・ショウヘイ、わが国では江戸川乱歩、藤原義江、岡本太郎、永六輔、高島忠夫、森光子、泉ピン子、加藤茶、三浦綾子などがいる。 ★パーキンソン病は、脳内のドパミン細胞が減少することによって運動調整機能が低下し、体の動きに障害があらわれる進行性の神経変性疾患である。代表的症例は、手足の震えである。貧乏ゆすりを思い浮かべると分かりやすい。他に動作が鈍くなったり、筋肉が固くなったりして、歩行障害が起こり、転倒しやすくなる。パーキンソン病が直接の死因になることはないが、現代の医療では根本的治療法はない。故に難病に指定されている。ｉｐｓの実用化は２０年先という。 ★主たる治療法は薬物療法である。不足しているドパミンを補うための薬を何種類か服用する。この調整がなかなか難しい。患者に合った薬と適量を見つけるのが容易ではない。試行錯誤の繰り返しである。副作用が伴い体調を崩すことが多い。妹は薬の自己管理が出来ず副作用に苦しんだ。パーキンソン病が引き金になって、認知症になる人が多い。 ★薬物療法に対しあまり知られてないがＤＢＳ（Deep Brain Stimulation）という外科療法がある。日本語では「深部脳電気刺激療法」という。１９７９年に初めて日本に導入された。これは定位脳手術とよばれる手術法で、脳の特定の部位に電極を植え込み、弱い電気刺激を持続的に送って、異常をきたしている神経細胞の働きを修正するものである。リード線を胸に埋め込んだ神経刺激装置に接続して自動的にコントロールする。イメージ的にはペースメーカーに似ている。　 ★副作用に苦しんだ妹は、どこで知ったのか、５年前に日大板橋病院でこの手術を受けた。私も立ち会った。手術は成功し体調は見違えるほど改善した。本人は今でもあちこち痛いなどと泣き言をいうが、体調のよい時は、庭の手入れをしたり、杖なしで背筋を伸ばし散歩をしている。見た目には健常者と変わらない。ただ、体調のアップダウンはある。 ★私が長年通っている理髪店のマスターが先月現役を引退した。息子によればパーキンソン病で、お客様にご迷惑をかけてはいけないので引退させた、とのことだった。息子の説明では、１０年前にパーキンソン病と診断され、通院・投薬を続けていたとのこと。 ★マスターは山登りやスキーの愛好家で、昨年も出掛けていた。若い頃、全国理容大会で優勝し、その後審査員を務めるなど、業界では名の通った理容師である。そのマスターが数年前から、手さばきに微妙な変化が出てきた。櫛を持つ左手に震えがあった。まさかパーキンソン病とは思わなかった。 ★先月は息子の嫁さんに調髪してもらった。彼女の母親がパーキンソン病だったことから、同じ病院に通院するようになった。彼女に妹の体験談を話し、来月ＤＢＳの資料を持ってくると約束した。先日、その資料を息子に手渡した。その夜、マスターからお礼の電話があった。声が弱々しく聞き取りにくかった。頭の重みで顔を上げられないとのこと。このような症状は初めて聞いた。急速に進行している印象である。ＤＢＳを検討すると言っていた。

ハワイ移住１５０周年（2018・6・15）
★６月７日、秋篠宮ご夫妻は、ホノルルで開かれた「日本人移住１５０周年記念式典」に出席され、祝辞を述べられた。 ★１５０年前の１８６８（明治元年）６月、日本から初めての集団移民１５１人がハワイに渡った。このうちの約５０人がハワイに定住し「元年者」と呼ばれ、ハワイ日系移民の先祖となった。実は、この１５１人は不法出国者だった。ハワイとの移民契約は幕末に結ばれたが、明治新政府は、これは前政権が交わしたものとして旅券の発行を認めなかった。 ★新政府と交渉に当たっていた日本駐在総領事ヴァンリードは、煮え切らない政府にしびれを切らし、横浜港で待機中の「サイオト」号に、独断で出港を命じた。「サイオト」号は未明の暗闇に乗じ横浜を出港した。 ★当時、ハワイ王国では、米国向け砂糖の輸出が急拡大し、サトウキビ農場は深刻な人手不足に陥っていた。中国やオランダなどから移民を受け入れていたが、労働意欲が低く、定着率も悪いため農場主は手を焼いていた。新たな移民として日本人に目を向けた。明治政府は、「サイオト」号事件のこともあって、ハワイの移民要請を受け入れなかった。 ★１８８１（明治１４年）３月、ハワイ王国のカラカウア王が、世界一周の途中、日本に立ち寄った。明治天皇に謁見し、山階宮定麿親王に自分の姪を嫁がせたい、という驚くべき提案をした。天皇はこの申し出を断った。これが実現していたら、ハワイと日本は遠戚となり、領土も日本になっていたかもしれない。この時、移民への協力要請があった。政府はこれに応じ、移民の再開を約した。 ★１８８５年１月、政府公認の第１回移民９４０人余りが「シティー・オブ・トウキョウ」号でハワイに渡った。この時の移民は日本・ハワイ王国の政府間で労働条件などを定めた約定書に基づく移民であることから、この移民を「官約移民」という。以後１８９３年まで、この制度の下で約３万人が労働者として渡航した。明治維新で職を失った武士や農民、職人などが一攫千金や新天地を求めて応募に殺到した。刻苦勉励し、ひと財産築いて帰国した成功者もいたが、現実は甘くはなかった。長時間労働や掘立小屋での共同生活、食料も不十分だったという。 ★１８９４年、政府はこの事業を民間移民会社に移した。これを「私約移民」という。これは海外への永住をめざした移民ではなく、数年間の契約労働を目的にした出稼ぎ労働者だった。 ★私の母方の祖父は、「契約移民」に応募してハワイに渡った。その後カナダに移住し、小金を貯めて帰国した。これは親戚縁者から聞きとった祖父の足跡である。しかし、なぜ、いつ、どこで、何をしていたのかは謎のままであった。 ★自分史をまとめる中で、この難題に取り組んだ。横浜の海外移住資料館や広島の日本ハワイ移民資料館、移民の文献が多い県立図書館、ホノルルのハワイ日本文化センターなどに問合わせてハワイ移民に関する資料を調べた。断片的な手掛かりは得られたが、全貌を解明するには至らなかった。そんな中、外務省の外交史料館で、祖父の旅券申請書類とその発行資料を古いマイクロフィルムの中から見つけた。 ★この資料から、祖父は明治３２年８年１８月、広島の海外渡航株式会社の応募に応じ、３年契約でハワイに渡ったことが判明した。しかし、乗船した船の名前やハワイに渡った後の足取りは現在に至るもようとして分からない。 ★６月８日の読売朝刊に東大史料編纂所が、ハワイ移民「第１陣」の手書きの名簿を発見したという記事が掲載された。もしかしたら、この史料編纂所で手掛かりが得られるのではないか、と淡い期待が膨らんだ。

サマータイムと体内時計（2018・9・16）
★今年の夏は記録ずくめの暑さだった。猛暑、酷暑では足りず、危険な暑さ、など表現もヒートアップした。この暑さは日本だけでなく地球規模で起きた。ヨーロッパでは４８℃を記録、「極端気象」と評した。消防庁によれば、今夏熱中症で救急搬送した人は、約１０万人にのぼり、過去最多になったとのこと。 ★２０２０オリパラは真夏に開催される。暑さ対策が喫緊の課題に浮上した。時期をずらすべきだ、とか競技時間を繰り上げるべきだ、などの他に沿道にスプリンクラーを付けたり、道路に芝生を敷くなど様々なアイデアが提案されている。オリパラ返上論まで飛び出している。 ★そんな中、サマータイムの導入が、有力な対策案として検討されている。サマータイムは日本でも実施したことがある。調べてみると戦後間もない１９４８年から５１年までの４年間、ＧＨＱの指令で行われた。記憶が曖昧なのは、中学生だったからだろう。 ★サマータイムのメリットは暑さ対策だけでなく、電力の節約などの省エネ、余暇時間の増加による経済活性化などと言われている。デメリットは各種システムの更新、皮膚がんや鬱病の増加、交通事故増などである。 ★ＥＵはサマータイムを採用しているが、メリットよりデメリットの方が大きいと２０１９年に廃止することを決めた。省エネ効果が薄れ、多くの市民が健康被害を危惧していることを理由に挙げている。 ★人間には１日周期でリズムを刻む体内時計がある。これは２５時間で動いている。地球の自転と１時間の時差がある。このまま放置しておくと、どんどん差が広がっていく。昼夜逆転もあり得る。健康被害とか健康への影響とはこのことを指す。これを防ぐには、体内時計を絶えずリセットすることである。 ★体内時計をリセットするには、日々同じ時間に朝日を浴びることである。実は、ここが肝心なところである。専門医によれば、　①毎日同じ時間に起床し、太陽光を浴びる。　②昼寝は３０分以内、午後３時までに済ます。　③夜は眠くなったら寝る、就寝時刻は関係ない。　これを「眠りの３原則」という。この原則を守れば、生体リズムが整い、健康的に過ごすことが出来る。 ★小生は早寝早起きである。大体同じ時刻に起き、同じ時刻に寝ている。３原則に照らすと、太陽光を浴びる習慣はなかった、夜寝るのは、睡魔と関係なく、ほぼ同じ時刻に寝ていた。昼寝はしないが３０分、３時までとは、知らなかった。これは３原則から外れている。今は原則を忠実に実行中である。