★相撲協会は、新型コロナウイルスの対策を巡って、春場所の開催をどうするか揺れています。大相撲を国技と言うのなら、国の方針に従い、中止するのが当然でしょう。
★小生は大相撲の大フアンです。毎場所欠かさずテレビ観戦しています。横須賀は昔から相撲の盛んな土地柄です。三浦相撲、海軍相撲、わんぱく相撲などが行われてきました。宮城野部屋に、地元出身の小結廣川がいたことから、宮城野部屋の稽古場があり地方巡業がありました。
★三浦相撲は江戸時代から盛んで、八幡神社の奉納相撲は今も引き継がれています。三浦郡(現横須賀公郷町)生まれの侠客・飯岡助五郎が、「網ヶ崎」という四股名で友綱部屋にいました。戦時中は海軍が鍛錬の一環として相撲を訓練科目にしたことから「海軍相撲」が有名になりました。市内の各地や神社に本格的な土俵があり、対抗試合が行われていました。
★わが校には相撲部があり、校庭の一角に土俵がありました。アマ相撲出身の教師が監督として指導していました。対外試合だけでなく、毎年クラス対抗試合がありました。小生もクラス代表で出ていましたが、出ると負けでした。走ったり、飛んだり、投げたりは得意でしたが、格闘技はからっきしダメでした。
★初場所は「しらけ場所」でした。両横綱が早々と休場しました。今の横綱は2つ負けると、さっさと休みます。ゆっくり休んで次の場所に備えます。横綱は休んでも降格はありません。大関はそうはいきません。カド番の豪栄道は大きく負け越し、引退に追い込まれました。10勝すれば大関復帰だった高安も負け越し、関脇からも陥落することになりました。
★看板力士の不振で、幕尻の徳勝龍が優勝しました。彼にケチをつけるつもりはありませんが、大番狂わせでした。協会は大関貴景勝か関脇朝乃山を優勝させたかったのでしょう。本来取り組みのない上位力士を、徳勝龍にぶっつけました。協会の意図は見え見えでした。徳勝龍は、そうはさせじと難敵を撃破し、見事賜杯を手にしました。あっぱれです。正代、朝乃山、貴景勝は屈辱を味わいました。最大の屈辱は面目を失った協会でしょう。
★千秋楽で豪栄道が敗れた時、解説者の舞の海が、これで豪栄道は引退するかもしれませんね、と北の富士に問いかけました。北の富士は驚いて、そんな話があるのか、と問い返しました。舞の海は慌てて、いや聞いていません、と否定しました。北の富士はめったなことはいうな、とたしなめました。舞の海は申し訳ありません、と謝りました。おそらく、舞の海はそのような情報をつかんでいたのでしょう。
★14日に天覧相撲がありました。ベテランのアナウンサーが、天覧相撲の歴史を解説しました。その中で先代の天皇陛下を「平成天皇」と紹介しました。小生はこの呼び方にオヤッと思いました。数分後、「上皇さま」と訂正がありました。これはNHKらしからぬ大きなミスです。小生も同じミスをしたので、すぐに気が付きました。正しくは「おくりな」です。
★大相撲は世代交代がはっきりしてきました。今年中に新横綱、新大関が誕生しそうです。若手の活躍も楽しみです。協会は満員御礼の盛況におごることなく、横綱の品位の向上や力士の育成に力を注いでほしいものです。
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★旅行の計画は2ヶ月前に決定していました。出発直前の勧告に戸惑い、同行者とどうするか相談しました。今更中止出来ない、罹ったらそれまで、とマスク持参で出掛けました。
★キャンセルが相次いだらしく、機内は空席が目立ちました。現地に着くと、空港は閑散としていました。観光地やレストランも空いていて、待たずに入れました。現地は落ち着いた雰囲気でマスクをしている人はそれほど見かけませんでした。われわれもマスクをせずに観光しました。   
★シンガポールだけでなく、バタム島、ビンタン島など人混みのないリゾートを巡ったこともSARSを気にせずに済んだ理由かもしれません。最終日、旧友の現法社長の招待で高級中華料理店「レイ・ガーデン」でフルコースをご馳走になり、SARS騒ぎも忘れて、全員大満足で帰ってきました。
★2005年1月29日、横須賀国際交流協会の理事・ボランティア9人で上海に行きました。プライベート旅行でしたが、せっかくの機会なので、現地で国際交流をしようと、県に訪問先の紹介を依頼しました。紹介されたのが上海YMCAでした。
★1月30日、YMCAを訪問、熱烈歓迎を受けました。呉理事長の案内で高齢者の支援活動の様子を見学し、その後先方の幹部たちとそれぞれの活動について意見交換しました。呉さんは日本語が堪能で、屡々来日している親日家でした。
★1月31日には横浜市の上海事務所長と夕食を共にしながら、中国の最新情報について説明を受けました。
★公式行事とは別に、フリータイムを利用して寒山拾得で有名な蘇州に行く計画でした。JTBに切符の手配を頼んだところ、中国は春節の時期なので、入手は難しいと断られてしまいました。現地に行けばなんとかなるだろう、と安易に考え出発しました。
★上海YMCAのビルは上海駅の目の前にあります。そこから人民広場が見渡せます。広場には切符を買う人や大きな荷物を背負った帰省客と思しき家族連れなどで、足の踏み場もないほどごった返していました。徹夜組のテントも数多くありました。飛び込みで切符を買うなど到底不可能だと、考えが甘かったことを反省しました。
★呉理事長に、蘇州に行くつもりだったが、これではとてもムリですね、と話したところ、私の方で当たってみますよ、と引受けてくれました。半信半疑でいたところ、夕方、ホテルに取れました、と連絡がありました。それも軟座(1等車)の往復指定席でした。言葉が通じないと困るだろうと、日本語の分かる女子大生を通訳として付けてくれました。
★当時、列車には軟座と硬座(2等車)があり、軟座の乗客は特別待合室で出発ギリギリまで寛ぐことが出来ました。階級社会を象徴するかのようでした。
★理事長の権限の大きさに驚くと同時に、至れり尽くせりの心配りに感謝して、蘇州観光を楽しんで来ました。
★SARSと春節の思い出です。

★中国武漢で発生した新型肺炎が拡がりを見せています。終息の兆しが見えません。中国では春節を迎え、30億もの人が大移動を始めると報じられています。武漢の行政府は封じ込め作戦で拡散を防ぐ対策を講じています。果たして終息につながるでしょうか。
★今回の肺炎騒ぎは18年前のSARSの時より、ものものしい雰囲気です。マスク、うがい、手洗いは同じですが、防護服に身を固めた職員を総動員し、交通手段をすべて閉鎖、内外への移動を禁止するなど、前回にはなかった厳戒態勢です。WHOはまだ緊急事態には当たらないと静観です。
★原因がはっきりしないのが、何よりも不安材料です。当初、野ネズミが原因だと発表されました。中国人は四つ足なら何でも食べます。この説はありそうな話ですが、その後人から人へ感染することが明らかになりました。
★武漢は自動車の生産拠点です。日系企業が約160社、駐在員が約500人います。春節の大移動に加え、ビジネスマンの往来もあります。日本だけでなく世界各地に大勢の人が移動することが予想されます。水際作戦で食い止められるかは大きな疑問です。夏にオリンピックを控え、日本での大流行が懸念されます。香港大の教授は、死者はSARSの10倍を超えると言っています。
★このニュースを聞いて、2002年末に発生したSARSを思い出しました。2003年4月13日から5泊6日で、友人7人とシンガポールとビンタン島に行きました。4月3日、外務省からSARSの情報が発表され中国、香港、台湾、シンガポールへの渡航について、注意勧告が出ました。
★旅行の計画は2ヶ月前に決定していました。出発直前の勧告に戸惑い、同行者とどうするか
     写真付き続き SARSと春節へ
★小栗上野介忠順は、横須賀造船所を造った功労者として、ヴェルニーと共に横須賀市民には馴染みの人物です。万延元年(1860)遣米使節団77人の目付(NO.3)として渡米しました。浦賀に東西叶神社があります。東叶神社には、咸臨丸の艦長として遣米使節団の護衛の任に当たった勝海舟が2日間安全祈願をした史実が伝わっています。小栗の方がはるかに高い地位でしたが、一般的には海舟の方がよく知られています。小栗は幕末、将軍慶喜から罷免され群馬郡権田村に移り隠居しますが、新政府軍によって反逆の汚名を着て処刑されました。
★彼が隠棲した群馬の倉淵村には、横須賀市が資金を出し建設した「はまゆう荘」があり、姉妹都市提携を結んで、バスツアーなど定期的な交流をしていました(現在は町村合併で解消)。この程度のことは、横須賀市民なら大体知っています(小生もその程度です)。
★今回「明治維新の敗者たち」(マイケル・ワート著)を読みました。この著書は小栗の生涯をまとめた本です。著者のワートはアメリカ人です。彼は若い頃、群馬県の中学校で英語の教師をしていました。この時、たまたま小栗のことを知り、小栗の研究を思い立ちました。帰国後、小栗研究を本格化し、その論文で学位をとりました。現在は日本近代史の専門家として大学で教えています。
★小栗の生涯は、公的な資料が少なく、客観的記録が乏しいという問題点があります。このため小栗に関する評価は大きく分かれています。反逆者という評価がある一方で、彼こそは日本近代化の父だという評価です。明治時代に流布された「勝てば官軍、負ければ賊軍」の一人です。
★ワートは、小栗に関する資料をくまなく集め、小栗の人物像に迫りました。公的資料はもちろん、郷土史家の著作、親類縁者や地元の名もない人へのインタビュー、徳川埋蔵金伝説、記念行事やイベント、歴史書、小説、映画、漫画など小栗と名の付く資料を丹念に集めました。彼が取った手法は「歴史的な記憶の理論」という新しい方法論でした。
★小栗家は徳川譜代の家臣でした。4代庄次郎は「姉川の合戦」で家康の命を救ったという功績の持ち主です。その後「三方ヶ原の合戦」「長篠の合戦」でも武功を立て、家康から「また1番槍は小栗か」と言われ、拝領された名前が「又一」でした。小栗家の当主は代々又一を名乗ってきました。上野介も同様です。
★小栗は江戸末期の幕臣として、崩壊しつつある幕府を財政から軍事に至るまで、中枢で支えました。日米修好通商条約批准のため、遣米使節の目付(監察)として随行、ワシントン海軍工廠などを視察、その後、世界を一周して帰国しました。その功により外国奉行に任ぜられ、内政・外交に関わった後、勘定奉行など歴任しました。維新後の日本が世界に伍していくには、富国強兵が必要と考え、横須賀造船所の建設、軍隊の近代化、国家財政の立て直しなどに携わりました。しかし、最後の将軍慶喜に薩長軍(新政府軍)と戦うべしと進言したことが反逆罪に問われ、志し半ばで生涯を終えました。42歳でした。
★東郷平八郎や海軍関係者は、帝国海軍の基礎を作った小栗を高く評価しています。東郷は日本海海戦で勝てたのは、製鉄所と造船所を造った小栗のお蔭だと遺族に述べています。大隈重信は小栗の親族として、小栗の子、園子を引き取り、大隈の養子の妻にしました。福地源一郎は岩瀬忠震、水野忠徳、小栗忠順を幕末の三傑と呼んでいます。司馬遼太郎は小栗を「明治の父」と記しています。これらの人は小栗贔屓の人たちです。
★もちろん反対派もいます。小栗家は2500石の旗本で、知行地は上野国(群馬、栃木、埼玉、千葉)です。上野介は知行地に対し開墾、治水など目立った業績がなく、それが一部地元民の評価を損ねています。彼が江戸詰めであったことも影響しているのでしょう。
★西郷や龍馬、海舟などに比べると、小栗の知名度、人気は今一です。しかし、彼に関する業績や人柄を知ると、彼がいかに過少評価されていたかが分かります。この本で紹介されている業績は小栗が携わったほんの一部に過ぎません。政敵にとって彼は手ごわい相手であり、歴史の表舞台から抹殺したかったのでしょう。
★勝海舟は小栗の政敵であったにも関わらず、氷川清談の中で「小栗上野介は幕末の一人物だよ。あの人は、精力が人にすぐれて、計略に富み、世界の大勢にもほぼ通じて、しかも誠忠無二の徳川武士で、先祖の小栗又一によく似ていたよ。一口にいうと、あれは、三河武士の長所と短所とを両方備えておったのよ。しかし度量の狭かったのは、あの人のためには惜しかった。」と、小栗を三河武士の鑑と讃えた福沢諭吉に近い見方をしています。
★明治維新の敗者を巡る見直しと再評価は、ここ数年目立っています。この本もその一冊です。


最近思うこと

          トランプアウト(2020・6・10)

★アメリカの新型コロナの死者は11万人を超え、ダントツの世界一である。トランプは汚名返上に向け、国を挙げて取り組んでいる、と思いきや、その様子は見られない。それどころか、ウイルスをばらまいたのは、武漢細菌研究所だと断定、中国に賠償を求めると息巻いている。それを阻止しなかったWHOも同罪だと決めつけ、WHOからの脱退を決めた。
★中国は、アメリカの言い分は根拠のない言いがかりと反論、コロナを封じ込めたのは、習主席の偉大な指導力の成果だ、と高らかに宣言した。全人代は、“トランプ再選なし”と分析、対米強硬路線の維持を決定、一帯一路戦略を推進することを明確にした。しかし、コロナ禍でサプライチェーンが寸断された製造業は、中国1極集中から分散化へと舵を切り始めた。中国の経済的打撃は避けられない。加えて香港問題が新たな火種となり、中国の強硬路線に反発が広がり始めた。
★トランプの言動は、支離滅裂の度を深めている。大統領選支持率がバイデンに抜かれたことで、動揺に拍車がかかった。警官による黒人殺人事件の対応にも世界中から批判が高まっている。暴動を恐れ地下壕に逃げ込んだのは、トランプの致命的失敗だった。オバマ前大統領や身内のマティス前国防長官も公然と批判を強めた。パウエル前国務長官はトランプ再選を支持しないと公言した。G7も延期を余儀なくされ、世界もトランプを見放した。トランプ再選はアラートからアウトが濃厚になった。
★安倍政権にもアラートがともった。内閣支持率が軒並み下落、危険水域に入った。国民の感覚は鋭い。モリカケに始まり、桜を見る会、河井支援、コロナの不手際、検察人事のまやかしなど、よく見ている。会期末を迎え、新たに補正予算の問題が浮上してきた。これは命取りになる可能性がある。
★分からないのは株式市場だ。政権が揺らぎ、あらゆる経済指標が悪化している。にもかかわらず、株価は上昇、早々とV字回復を果たした。株価は景気の先行指標というが、6ヶ月先に経済が好転する材料は見当たらない。世銀は戦後最悪の不況になると発表した。トランプや安倍首相の退陣が、急落の引き金になるかもしれない。
★喫緊の課題はコロナの正体を見つけ、ワクチンと治療薬を開発することだ。これはメドが立っていない。国民が取る自衛策は依然として「3密」だ。これは忍耐を要する。長期間続けることはムリだ。得体のしれないコロナに対し、野ネズミや野生コウモリに始まり、宇宙から飛来したなど様々な説が飛び交っている。
★人類学者の山際寿一は、地球は「ウイルスの惑星」であり「細菌の惑星」だという。温暖化対策を軽んじてきた人類は、氷山や深海に潜んでいた未知の細菌やウイルスの出現を許すことになったと指摘。今回のウイルスを退治出来たとしても、環境破壊に歯止めをかける行動を取らない限り、また新たなウイルスに襲われるだろうと警告する。これは説得力ある見解である。人類は自然に対し、謙虚さを取り戻し、かけがえのない地球の保全に取り組むべきだ。

      新型コロナの原因は地球温暖化?(2020・4・1)      

   2020年前半投稿一覧
 投稿日    タイトル
   6月10日 トランプアウト 
  5月10日 小栗上野介 
  4月01日
新型コロナの原因は地球温暖化? 
  3月16日  台湾・シンガポールと
イタリア・イラン
2月28日 相撲 あれこれ
 1月25日 SARSと春節

         「SARSと春節」(2020・1・25)

★3月11日、習近平氏と親しいWHOのテドロス事務局長が、遅ればせながら新型コロナウイルスをパンデミックと認定しました。3月6日、習氏が党の指導で中国はコロナウイスを封じ込めた、と高らかに宣言した後です。1月25日付けの「SARSと春節」を書いた時点では、テドロス氏はまだ緊急事態には当たらない、と楽観視していました。それがわずか2ヶ月足らずで判断を変えました。
★感染症は、ある周期で収束することが、過去の歴史が示しています。気候などの季節要因や医療体制、政府の対策などが功を奏するからです。このことから私は、今回も2月末ないしは3月上旬には収束するだろうと思っていました。しかしこれは外れました。一方、中国の感染者数は10万人を超え、死者は3千人に達すると思っていました。香港大教授の意見に同感したからです。これはほぼ的中しました。
★新型コロナウイルスの感染者数と死者の数は毎日報道されています。感染者数は条件によって差があるので、当てになりません。死者の数は厳然たる事実ですから、ほぼ正しい数字でしょう。3月15日現在の発表によれば、イタリアとイランの感染者は1万人を超えています。死者はイタリアが1,200人超、イランが600人超で、共に3桁です。
★これに対し台湾は感染者53人、死者は1人です。シンガポールは感染者が200人、死者はゼロです。イタリア、イランとは天と地ほどの差があります。台湾とシンガポールの住民は、ほとんどが中国系です。にもかかわらず、この両国は新型コロナの封じ込めに成功しています。両国は小さな島国という水際作戦に有利な共通点がありますが、それだけが理由ではありません。共に優れた指導者が、リーダーシップを発揮し、先手先手と手を打っているからです。
★台湾では、12月31日武漢からの入国者に対し検疫を実施、1月22日には蔡総統が拡散防止を指示、24日マスクの輸出禁止、26日中国人の入国禁止、2月2日小中高校の新学期延期などの対策を矢継ぎ早に出しました。たとえばマスクです。わが国では、メーカーも政府も在庫は十分あり、生産体制に問題ないと強調しています。しかし店頭にはありません。この緊急時にネットを使って、高値で転売する不埒な輩さえいます。台湾では、2月6日に販売規制を打ち出し、1人1週間3枚、身分証提示という方針を出しました。在庫のある店とない店を一覧出来るマップをネット上に開示したりしています。
★シンガポールは、1月27日「日常生活で気を付けなければならない事項」として手洗いやうがいなどの励行を発表したのを皮切りに、アメリカの2倍、日本の30倍の国費を投じ、副首相をトップとする特別チームを立ち上げ、具体策を次々に打ち出しています。その眼目は、感染者の発見と徹底した封じ込めです。感染者の詳細や感染ルートがリアルタイムで分かるマップがネット上に開示されています。
★シンガポールは、リー・クアンユー初代首相の時代から、公共放送を通じて定期的に国民向けにメッセージを発表する伝統があります。10分や20分ではなく1時間から3時間に及びます。2月8日リー・シェンロン首相は、新型コロナに対し国民向けメッセージを発表しました。この中で首相は政府の対策を説明し、団結してこの難局に立ち向かおうと呼び掛け、互いに助け合い、落ち着いて日常生活を続けようと呼び掛けました。
★10年程前に医療ツーリズムがブームになりました。これはアラブの富豪などが先端医療の充実した国を訪れ、健康診断や治療などを受ける総合医療システムです。シンガポールは先端医療が充実していることから、金持ちが押し寄せる国です。日本もその対象国になっています。武漢から第1便のチャーター機で帰国した人達が、千葉の三日月ホテルに隔離されました。その防疫・観察に当たったのが、亀田総合病院です。この病院も医療ツーリズムの対象に指定されている病院です。この病院の取り組みがあったことが、感染者ゼロの実績に繋がったと思います。政府は亀田病院の知見をもっと参考にすべきです。
★感染病は、文字通り人から人に移る病気です。したがって、人と人との接触を禁ずることが基本的な対策です。イタリアやイランに感染者が急増しているのは、この原則を無視してきたからです。イタリアは繊維産業などで中国と密接な関係がありますが、国民的生活習慣としてキスやハグなどが日常的に行われています。これは典型的な濃厚接触です。
★イランはイスラム国で、毎週金曜日にはモスクに集まって礼拝します。これも濃厚接触です。韓国の感染者が増えた原因が、宗教団体の教会だったのと全く同じ構図です。この2国に感染者が増えるのは当然です。加えて打つ手が後手に回っています。医療体制も貧弱です。まだまだ増加の道を歩むでしょう。
★トランプ大統領は、アメリカは大丈夫と大見得を切っていましたが、国家非常事態宣言を出す羽目になりました。陰性にはなりましたが、本人自身も感染者でした。まだ統計的には低いレベルですが、今後拡大するでしょう。これが大統領再選を阻む原因になるかもしれません。
★WHOのテドロス事務局長は、ヨーロッパがクラスターの中心になったと述べました。武漢型ウイルスが、欧州型に変異したのかもしれません。私は次のクラスターはアフリカだと思います。感染者が増える条件がすべて揃っています。アフリカに転化しない前に特効薬が開発されることを願っています。
★日本は台湾、シンガポールに比べると後手に回ってきたことは否めません。しかし、遅ればせながら手は打ってきました。何よりも日本には総合的な潜在能力があります。感染者は増えていますが、1日100人を超えたことはありません。感染者のピークを低くするという効果は出ています。3月上旬収束の予想は外れましたが、1ヶ月遅れで収束に向かうと期待を込めて予想したいと思います。

   台湾・シンガポールとイタリア・イラン(2020・2・16)      

★われわれ凡人(あなたではありません)は、見えないことに対し、見通しや対処法を示すことは出来ません。しかし、国民の安全に責任を負っている政治家や専門家は、たとえ見えなくても、政治的な判断や専門的知見を基に、それなりの見解を示さなければなりません。事態が見え始めてから、したり顔で、もっともらしいことを言うのは、凡人でも出来ることで、パフォーマンスと言われても仕方ありません。
★ワクチンや特効薬が見つからない中、唯一の感染防止策は保菌者を封じ込めることです。しかし、これは「言うは易く行うは難し」です。なぜなら、保菌者を簡単に特定出来ないからです。このため大は国境封鎖から小は禁足要請にとどまっています。この困難に成功しているのが台湾、シンガポール、香港です。3国の死者数が少ないのは、感染者の発見に力を注ぎ、それを徹底して隔離しているからです。
★先週、小池都知事は事態が見え始めてから、ようやく動き出しました。吉村大阪府知事は厚労省のデータに基づき、逸早く行動を起こしました。都知事も同じデータを入手していましたが、感度が鈍く、都民への自粛要請が1週間遅れました。これは初動の失敗です。しかし、その後の行動は評価できます。バーやキャバクラが感染源のひとつだと指摘しました。志村けんの死亡も巧みに利用しました。これらは小池知事ならではの表現力、発信力といえます。彼女の「見える化」発言で、新型コロナの実像が具体的に捉えられるようになりました。
★その後も、判断ミスを覆い隠すように難解な横文字を駆使し、危機感を露わにしています。安倍首相には「緊急事態宣言」を発令するよう迫っています。首相は慎重な姿勢を崩しません。都知事への賛同者が増えないのは、パフォーマンスだと冷めた目で見る人が多いからでしょう。
★日用品の品薄はマスクやトイレットペーパーから米やカップラーメンの食品に移ってきました。過剰反応のそしりは否めませんが、国民がニュースをよくみている証拠です。ただし、これで封じ込めが成功したとは言えません。危機的状況はまだまだ続くでしょう。
★先週、偶然ですが、有識者4人による対談を聞く機会がありました。この中で注目すべき指摘がありました。アメリカはコロンブスによって発見され、原住民のインディアンを武力で制圧し、白人の国にしたことになっています。実は、制圧は武力ではなく、白人が持ち込んだウイルスが原因だったという説です。インカ帝国が滅びたのも同じ理由だと述べています。
★もうひとつは、新型コロナは地球温暖化が原因だという説です。南極の氷河が溶け、露出した地表をボーリングしたところ、地下の地層から、今まで見たことのないウイルスが発見されたそうです。今の新型コロナかどうかは触れていませんが、温暖化が原因という説はあり得る話ではあります。温暖化対策に消極的な人類に、神が鉄槌を下したのかもしれません。
★先日、「対論!生命誕生の謎」を読みました。微生物学者高井研と分子生物学者山岸明彦の対談です。高井は、生命は深海の熱水噴出孔から出現したと主張、山岸は地上の温泉からと主張し対立しています。ただし、地球外生命が存在することについては、両氏の意見は一致しています。新型ウイルスが地球外から飛来したのかもしれません。
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         「相撲あれこれ」(2020・2・28)

         小栗上野介(2020・6・9)